シェイクスピアからVTuberまで! オーナーの個性が発揮された「McLuhan」部屋

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「McLuhan」部屋オーナー JP Media Business Developmentの岑康貴

2018年の秋に、2階の会議室スペースを大きくリニューアルしたスマートニュースのTokyo West Office。

リニューアルの際、全部で17ある会議室にはそれぞれ、従業員が考えたスマートニュースに紐づく偉人の名前がつけられました。さらに、各会議室にその偉人に関連した書籍を置く本棚を作り、従業員はそれを自由に借りられるようにもなっています。

第1弾では、この本棚プロジェクトの責任者であるOffice&Communityの青井絵美さんに、プロジェクト全体に関わるお話を伺いました。

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第2弾となる本記事は、17ある会議室の1つであるマーシャル・マクルーハンの名前を冠した「McLuhan」部屋のオーナーであるJP Media Business Developmentの岑康貴さんに、選書に込めた思いを語ってもらいます。

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外部のお客様をお招きすることも多い「McLuhan」部屋

マーシャル・マクルーハンの部屋を作った理由

──まず、岑さんは普段どのような業務に関わっているのでしょうか?

 JP Media Business Developmentというチームに所属しています。記事がアルゴリズムによってユーザーのみなさんに正しく届くよう、スマートニュースに記事を配信してくださる媒体社さんや、社内のエンジニアとコミュニケーションしています。

──岑さんが、この本棚プロジェクトに参加しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか?

 会議室を増やすにあたり、従業員から公募して各部屋に偉人の名前をつける、さらにその偉人に関連する書籍を置く本棚を作ると聞いて、そこまでやるのか、頭のおかしい会社だなと(笑)。スマートニュースは読書家がとても多い会社なので、自分にできるのかと不安もありましたが、とはいえ面白そうだし、せっかくなので応募しました。

この会議室の名前になっているマーシャル・マクルーハンは、英文学者・文明批評家であり、メディア研究におけるとても重要な人物です。

実をいうと、採用されたこのマクルーハン以外にも、2つほど候補を出していたんですよ。1つは立川談志。スマートニュースは、エンタメや芸能に関する記事もたくさん配信しています。エンタメ・芸能の分野で、過去と現在を統括する重要な役割を果たしたのがこの立川談志です。そしてもう1つは、レオナルド・ダ・ヴィンチ。科学から芸術までの幅広い分野で功績を残した人物なので、この本棚プロジェクトの中核にある思想である「みちくさ」を、上手く体現できる部屋が作れるはずだと考えました。

▽ 「みちくさVol.1」巻頭言

そして、最終的に採用されたマーシャル・マクルーハンを推薦した理由は、やはり我々がスマートフォンを通じて、ニュースを作り出すメディアパートナーの皆様から配信を受け取り、ユーザーさんに届けることを生業としているからですね。

──ニュースメディアに関連する企業として、マクルーハンは外せなかったということでしょうか。

 マクルーハンのいう「メディア」はとても多義的ですし、ここで「何をメディアとするのか?」という詳しい議論に踏み込むことはしません。しかし、我々が提供しているプロダクトの性質上、マクルーハンの名前を冠した部屋はぜひ作りたいと思いました。

あとは、この部屋のいちばん目立つところにあるマクルーハンの『メディア論』を、僕は大学生のときに読みまして。内容をきちんと咀嚼できているかは自信がないですが、自分は仕事のキャリアとして、ずっとインターネットメディアに関わってきました。そのため、会議室につける人物として、マクルーハンの名前はやはり真っ先に思い浮かんだんです。

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シェイクスピアからVTuberの本まである個性的な選書

──この部屋には『メディア論』などマクルーハンによる代表的な書籍ももちろんありますが、『リア王』や『ジョン・ケージ 小鳥たちのために』など、一見するとマクルーハンとの繋がりが見えにくい書籍もありますよね。選書の際に工夫した点や、マクルーハンについて新たに発見したことなどはありましたか?

 選書は、マクルーハン以前の時代からマクルーハンが予測した現代までのメディアの変遷を意識した「タテ軸」と、マクルーハンが当時どこに接続していたかを意識した「ヨコ軸」を思い浮かべながら考えました。シェイクスピアの『リア王』は、マクルーハンが著作で言及しているので置いてみたんです。ウッディ・アレンの『アニー・ホール』のDVDがあるのは、マクルーハン自身がマクルーハン役として出演しているからですね。

あるいは「メディア」を起点として、言語やジャーナリズム、民主主義や消費社会について考える本にまで射程を広げてみたり。『記者ハンドブック』や『YouTube革命 メディアを変える挑戦者たち』、東浩紀さんが編者になっている『ised 情報社会の倫理と設計』なんかもあります。ちょっと飛びすぎかな、こじつけかなと思うところも我ながらありますが、本当にいろいろなところに話題を広げることができる人なんだなと、選書をしていて改めて感じました。

──VTuberの本が置いてあるのも気になります。

 なぜVTuberの本を置いたのかというと、単純に自分が今ハマっているからというのもありますが(笑)、もちろん真面目な理由もあります。あくまで僕の解釈ですが、VTuberとは極めてマクルーハン的な現象なのではないかと。マクルーハンは、「メディアとは身体の拡張である」といっています。VTuberは、外見はもちろん、吸血鬼であったりAIであったり大魔王であったり、その存在の設定自体も拡張してYouTubeにのせてしまいますから。

──繋がりがわかりやすい王道の書籍だけでなく、VTuberの本まであるのはオーナーの個性がよく表れていますね。

 紙の書籍だけではなく、昔のラジオやウォークマン、電話機、VRヘッドセットなどを置いてみても面白かったと思います。この部屋にはまだ空きがあるので、これからそういったものを置いていくことを検討してみてもいいかもしれませんね。

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VTuberの話になると一段と顔が明るくなる岑さん

──「McLuhan」部屋オーナーの岑さんが選ぶ、この部屋のおすすめ3冊を教えてください。

 あえて、マクルーハンぽいものとマクルーハンぽくないものを選んでみました。

1冊目は、やはり『メディア論』です。「メディアはメッセージである」「メディアとは身体の拡張である」など解釈が難しい言葉もたくさんありますが、折に触れて読み返したい本です。

2冊目は、ソシュールの『一般言語学講義』。少し強引な結びつけ方かもしれませんが、メディアや情報について突きつめて考えていくと、「言葉」や「記号」にたどり着くのではないかと。

最後は、ボードリヤールの『消費社会の神話と構造』です。現代の消費がボードリヤールのこの議論の上にあるかというと僕自身は少し疑問もありますが、メディアと資本主義と消費は、やはり切っても切れない関係にあると思います。

どれも僕が若いときに読んで、印象に残っている本なんです。

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──最後に、「McLuhan」部屋以外で好きな部屋と、この部屋以外の場所に置いてあるもので好きな本を教えてください。

 詳しいわけではないですが、建築やデザインも好きなので、建築家である丹下健三の名前を冠した「Tange」部屋でしょうか。他には、マンガも大好きなので手塚治虫の「Tezuka」部屋も好きです。

本単位でいうと、エントランスに置いてあるニクラス・ルーマンの『信頼 社会的な複雑性の縮減メカニズム』です。普段我々は「信頼」という言葉を何気なく使っていますが、それは社会的にはどのような機能を持っているのかを解き明かしている本です。内容としてとても面白いし、この本を読むことで、世の中と社会をいつもと違った角度から見る訓練になると思っています。

──「McLuhan」部屋もそれ以外の部屋も、まだまだ興味深い本がたくさんありそうです。岑さん、ありがとうございました。

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こだわりの会議室を覗いてみたい方は、ぜひお近くのスマートニュースメンバーにお声がけください。次回は、別の部屋のオーナーにお話を伺います。

Text/チェコ好き(和田真里奈)

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